ソリューションフォーカス: ナチュラルにシンプル

“SOLUTION FOCUS: The Natural Way of Simplicity”

私たちは会社でも個人的生活においても、直面する問題に対して否定的でストレスを感じやすい視点、あたかもそれが死ぬか生きるかの問題であるかのような視点でとらえてしまうことが多いようです。そのために、私たちは脳や生体システムを不自然な形で使うことが多くなりがちです。ソリューションフォーカスを活用すると、大きな問題を小さなことである「かのように」扱うので、自然に、シンプルに、持っている能力を最大限に活かせる状態で問題に対処することができます。恐れや怒りを減らし、勇気と利他心そして知恵をもたらたしてくれます。

ソリューションフォーカスは解決に向かう上で、人を丸ごと活かし、脳や生理作用の全てを動員する全人的(whole person)な手法です。SFは人間が持つ「未来の可能性」を想像する力、そしてそれを発揮することから得られる学びに基礎をおいています。そのような能力は少なくとも5万年前から人類の神経生理組織に組み込まれていたようです。

ですから、SFと現代の脳科学は非常に相性がいいのです。そして最近では、脳科学の成果と東洋哲学の間の近似性を指摘する文献も急速に増え始めています。脳神経科学領域における感情や社会心理に関する研究成果の多くは西洋哲学にとっては驚きとなるものですが、例えば禅の視点からすれば当たり前のことであることは珍しくありません。

東洋哲学の様々な概念はソリューションフォーカスと相性が良いようです。例えば、簡素さ、自在発生、自然、無為、初心などです。また仏教、儒教、道教のいずれにおいても人間は基本的に関係性の中にあり、相互依存している存在であると見られています。近年注目されてきた「創生」や「複雑系」そしてSFの「人と人の間(inbetween)に作用あり」という考え方と共通しています。ですから、 私は日本そして他のアジアの文化とソリューションフォーカスは自然にもともと適合していると主張しています。

私の考案したPLUSモデル(*)はSFワークの核となるプロセスを、誰にでも使いやすいようにシンプルに提示しようとした試みです。SFが持つ自然な力強さをシンプルに磨きあげることで、個人や集団がSFを学び活用する力を引きだしやすくしたつもりです。ソリューションフォーカスを使おうとすることの本質は、解決は既にその人の中にあり、問題の真っただ中においてもその可能性は存在しているとみなすことなのです。同じ意味で、SFのパターンはそれを活用しようとする専門家の中に既に存在しています。SF活用とは、自分の内に持っているものを再発見し、再学習するということに他なりません。そのためには初心者の素直な心が必要ですが、それは言うほど簡単ではなく、強い自制心と努力を必要とします。 日本人が様々な武道や生け花などの習い事を通じて、地道な努力により完成度の高い自然さを手に入れる伝統を持っていることと相通じています。SFは外から取り入れるものというよりは、潜在的に持っているものを耕し発展させることであると言えます。たゆまぬ努力によって自然なシンプルさを手に入れるというのは、私から見ると、アジア文化圏の皆さんが世界にもたらしている最高の贈り物だと思います。ですので、SFは以前から日本文化に内在していたと言えますし、私はこの「日出づる国」でSFがどのように発展していくのか、大変興味深く見守らせていただいています。

*PLUSとは以下の4語の省略です
Platform : Look at the future: Utilize success: Stepping the scale